〜その人が在るかぎり、その目に寄り添いたい〜 「往診」に込めた想い

院長 青山 裕美子先生の写真

眼科医の多くは「患者さんの目の命に寄り添う」ことを考え、診療を行なっていると思います。

私自身も勤務医として長きにわたり患者さんと接してきましたが、患者さんとの共有時間が長くなればなるほど、途中で患者さんが来院されなくなり、その代わりにご家族の方がお薬だけ取りにこられるようになり、そしていつの間にかそのご家族もお見えにならなくなることが幾度となくありました。

そのことについて、自身が若い時は別に深く考えることもなく過ぎてゆきましたが、次第に自分が歳を重ねてくると、なんらかの都合で受診できなくなった患者さんの気持ちに想いを馳せるようになってき ました。

受診を継続したくてもできない状況になった人、目のことも気になるけどそれより優先させる治療があって後回しになったままになっている人、これまでの目の治療をしてきたことも記憶の彼方になってしまったけど、本来なら診察を継続していかないといけない目である人などなど…。

五感のなかで、一番の情報源は視覚です。たとえわずかな光でも見えていることは、その人のクオリティーオブライフ(生活の質)を保つのにかけがえのないものであり、それをすこしでも維持することが眼科医の使命です。

それにもかかわらず、いろんな状況の人たちが通院継続が困難になり診療の継続が途切れてしまうこと、それが視機能の低下につながり、引いては認知症などの進行にも影響する可能性もあること、そして、今後より一層高齢化が進んで在宅介護が増えていく状況下では、このような患者さんも増加していくであろうことが予測されます。

そのような中で、“どのようにしたら、眼科医として最後まで患者さんの目の命に寄り添えるか?“について考え、たどり着いた結論が「患者さんが来れなくなったら、こちらから行けばいいじゃない!」 でした。

「来る人を待つ診療ではなく、出向く診療」

かえってそのほうが、患者さんの生活の様子もよくわかって、診療にも役立つのではないかとも考え、 「往診あり」に至った次第です。

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